国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和8年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
山口 大翔
(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学)
会議名
54th IEEE Photovoltaic Specialists Conference (PVSC 54)
期日
2026年6月7日~12日
開催地
The Hyatt Regency New Orleans (アメリカ, ニューオリンズ)

1. 国際会議の概要

54th IEEE Photovoltaic Specialists Conferenceは、太陽光発電に関する科学、工学、製造、政策などの幅広い分野を対象とし、産業応用を見据えた研究も含めた最新の成果が発表される国際会議である。会議は12の分野で構成されており、太陽光発電技術に関する最先端の研究成果や技術動向が共有される。特に米国開催ということもあり、National Laboratory of the Rockiesをはじめとする米国の研究機関や企業から、材料開発、特性評価、製造技術に関する最新の取り組みが数多く紹介される。

第54回となる本会議は、2026年6月7日から12日にかけて、アメリカルイジアナ州ニューオリンズのHyatt Regency New Orleansにて開催された。世界各国から研究者および企業関係者が参加し、オンライン参加者も含めて活発な議論が行われた。発表内容は、シリコン系太陽電池材料、ペロブスカイト・有機系材料、モジュール技術や製造技術など、基礎材料から実用化を見据えた研究まで幅広い分野に及んでいた。会議は主に午前中の口頭発表、午後のポスター発表および企業展示によって構成されていた。特にポスター発表では、発表者と参加者との間で活発な議論が交わされており、新たな研究材料や評価手法に関する情報交換や、今後の共同研究の可能性を探る場として機能していた。

また、本会議では異なる研究分野の参加者との交流も盛んであり、自身の研究分野に直接関わりのない研究者からも積極的に質問を受けた。特に、研究背景や位置付けについて簡単な説明を求められる場面が多く、専門外の研究者に対して研究内容を分かりやすく伝えることの重要性を実感した。

2. 研究テーマと討論内容

私は本会議において、「Improvement of Passivation for p-type Silicon Nano-crystals/Silicon Oxide Composite Layer by Atomic Hydrogen Treatment in a Catalytic Chemical Vapor Deposition System」という題目でポスター発表を行った。

我々の研究室では、現在主流となっている太陽電池構造の代替技術として、シリコンナノ結晶/酸化シリコン複合膜を用いた独自のパッシベーション構造の研究を進めている。この構造では、シリコンナノ結晶を介したキャリア輸送により、厚い酸化膜と低再結合特性の両立が期待できる一方、p型構造において十分な性能が得られていないという課題がある。本研究では、Cat-CVD装置を用いて生成した原子状水素を導入し、p型複合膜のパッシベーション性能向上を試みた。発表では、水素導入条件が再結合特性および膜中の水素分布に及ぼす影響について評価した結果を報告した。

発表後の議論では、研究事例の少ないCat-CVD装置を用いた水素化手法や、シリコンナノ結晶/酸化シリコン複合膜の形成プロセスに対して多くの関心が寄せられた。また、本構造のさらなる高性能化に向けた今後のアプローチや、実用化に向けた課題について活発な意見交換を行うことができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本会議への参加を通じて、研究発表だけでなく、多くの研究者との交流を行うことができた。ポスター発表では、シリコンナノ結晶/酸化シリコン複合膜を用いた独自構造や水素化手法に対して国内外の研究者から関心を寄せていただき、性能向上や実用化に向けた課題について活発な議論を行うことができた。特に太陽光発電分野で著名な研究者にも発表を聞いていただく機会があり、複合膜構造そのものの可能性や熱処理に関する今後の研究展望について貴重なご意見をいただいた。

また、学会期間中に開催されたSunRun Clubにも参加し、海外の研究者と研究内容だけでなく、趣味や研究生活などについても交流する機会を得た。学会発表の場とは異なる雰囲気の中で交流を深めることができ、国際的な研究コミュニティのつながりを実感した。さらに、これまで接点のなかった産業技術総合研究所の研究者とも交流し、研究動向や評価技術に関する意見交換を行うことができた。 発表を通じて、質疑応答では英語による議論の難しさを実感し、より深い議論を行うためには専門知識だけでなく英語による発信力の向上も必要であると感じた。今回得られた経験や人的ネットワークを今後の研究活動に活かし、さらなる研究の発展につなげていきたい。

最後に、本会議への参加にあたり、一般財団法人丸文財団様より多大なるご支援を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

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