International Workshop on Gallium Oxide and Related Materials (IWGO) はGa2O3 および関連材料に特化した国際会議である。Ga2O3 はSiC, GaNに続く次世代パワー半導体材料や、極限環境エレクトロニクス材料として大きな期待が寄せられており、本会議では、Ga2O3の基礎物性の理論から結晶成長、プロセス関連技術、デバイスに至るまで幅広いトピックに関して発表が行われた。さらに、近年研究開発が活発化しているGeO2 に関する報告も複数件見られ、関連分野の広がりを感じた。
今回で6回目の開催となるIWGO 2026は、アメリカ・メリーランド州のメリーランド大学において開催され、世界各国の大学、研究機関、企業等から多数の研究者が参集し、最新の研究成果に関する講演やポスター発表、活発な討論が行われた。国別の参加者数ではアメリカが156名と最も多く、日本はそれに次ぐ63名が参加していた。また、20を超える国から参加者が集まるなど、Ga2O3 関連分野の国際的な関心の高さがうかがえた。
2年後のIWGO 2028は岡山県にて開催予定である。
私は本会議において、“Enhancement-Mode Ga2O3 CAVETs with Improved Breakdown Voltage by Hot Implantation”と題した口頭発表を行った。
Ga2O3はその優れた材料物性から、縦型パワートランジスタ (FET) への応用が特に期待されている。Ga2O3 のプロセスにはイオン注入という手法が一般的に用いられ、同手法により選択的な不純物ドーピングが行われる。私の所属する研究グループでは、基板を加熱しながらイオン注入を行う加熱イオン注入法が、Ga2O3 においても有効であることを報告しており、本発表では、これを縦型FETのプロセスに適用し、その効果を検証した結果を報告した。
具体的には、イオン注入をベースに作製可能な電流アパーチャー縦型トランジスタ (CAVET) と呼ばれる構造のFETに着目した。従来の室温イオン注入を用いたGa2O3 CAVETでは、不十分な結晶ダメージ回復に起因すると考えられるソース端での素子破壊が課題であった。
本研究では、結晶ダメージ抑制効果がある加熱イオン注入をCAVETのプロセスに導入し、試作を行った。その結果、従来の室温注入CAVETと比べ、より高い耐圧を実証するとともにゲート電極端での破壊を確認した。これらの結果は、Ga2O3 CAVETの性能向上における加熱イオン注入プロセスの有効性を示すものである。
発表後の質疑応答では、デバイス中の電界集中が起こる箇所や、デバイス動作のヒステリシスに関して質問を受け、活発な議論を行った。
今回の国際会議(IWGO)への参加は、国内外の同分野の研究者と深く交流できる貴重な機会となった。口頭発表の後には複数の研究者から直接質問を受け、特にデバイスにおける電流リークの発生メカニズムに関する議論は、今後の解析を進める上で大変勉強になった。また、ポスター発表ではGa2O3に関連する多様な最新技術に触れ、直接議論することができ、そこで得た知見を今後の研究にしっかりと活かしていきたいと考える。
学会期間中は海外の博士課程の学生や若い研究者と対話する機会に恵まれ、国は違えど同じGa2O3研究に打ち込む同世代の姿に非常に大きな刺激を受けた。同時に、自身の研究を世界に向けて円滑に発信していく上で、英会話力や英語での表現力を一層磨く必要性を強く痛感した。一方で、海外での開催という非日常的な環境であったからこそ、国内の研究者とも普段以上に密なコミュニケーションを図ることができ、新たな繋がりを築くことができたと感じている。
今回のIWGO参加を通じて得た幅広い知見と多くの経験を今後の研究活動の原動力とし、より一層優れた研究成果を発信できるよう努めようと考えている。
最後に、本国際会議参加に際し、ご支援賜りました丸文財団に心より御礼申し上げます。


