Graphene Week は欧州グラフェンフラッグシップが主催する二次元材料分野における世界的に権威のある会議であり、最新の成果を共有し議論する重要な場となっている。今回の会議には世界中から研究者・学生が集い、グラフェンをはじめとする二次元材料(TMD、h-BNなど)に関する口頭発表、ポスター発表、招待講演が行われた。
会期中は、材料合成からデバイス応用、さらには産業展開に至るまで多岐にわたるテーマについて活発な議論が交わされ、分野横断的な情報交換が可能であった。
私は本会議にて、「Effect of Te flux on the CVD growth of Multilayered MoTe2」という題目でポスター発表を行った。
本研究では、光通信波長帯での応用が期待される遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)材料であるMoTe2を対象に、化学気相成長(CVD)法を用いた多層膜の合成について検討を行った。特に、成長過程におけるテルル(Te)フラックスの影響に注目し、核形成密度、ドメインサイズ、膜厚の制御にどのように作用するかを調べた。
得られた試料はラマン分光およびフォトルミネッセンス測定により評価し、Te供給量の増減が層数の均一性や結晶性に大きな影響を与えることを示した。また、成長条件と発光特性の関係を明らかにすることで、今後のデバイス応用に向けた成長最適化の指針を得ることができた。
質疑応答では、他研究者から Te供給源の制御方法、AHMやMoO3など異なるMo前駆体との比較、大面積成長に向けた課題 について多くの質問を受け、議論を深めることができた。
本会議では、MoTe2を含むTMD材料やヘテロ構造に関する多様な発表を聴講し、最先端の研究動向を把握することができた。特に、同様にCVD成長を用いたMo系TMD研究を行っているグループと詳細な条件について意見交換でき、今後の実験計画に役立つ知見を得られた。
また、発表や質疑応答を通して英語で研究を説明し議論する経験を積むことができた。不慣れな点もあったが、海外研究者からの率直な質問や助言を受け、自身の研究の強みと課題を整理する良い機会となった。
最後に、本会議への参加にあたりご支援いただきました関係各位に、心より感謝申し上げます。