国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
小原 慧
(慶應義塾大学 大学院理工学研究科 総合デザイン工学専攻)
会議名
The 37th IEEE International Conference of Micro Electro Mechanical Systems (IEEE MEMS 2024)
期日
2024年1月21日~25日
開催地
AT&T Hotel and Conference Center, Austin, Texas, USA.

1. 国際会議の概要


同研究室の参加メンバー

The 37th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (IEEE MEMS 2024) はIEEE主催のMEMS技術に関する国際会議で、第37回となる今回は2024年1月21日から25日の5日間にわたり、アメリカ合衆国、オースティンのAT&T Hotel and Conference Centerで開催されました。

本会議は新規性を重視するMEMS分野における最も権威のある国際学会のひとつであり、投稿された659件の論文のうち約49%の324件の論文が採択され、内訳は口頭発表が72件、ポスター発表が234件でした。発表内容は、物理センサ、アクチュエータ、光学デバイス、マイクロ流体デバイス、医療用デバイス、RFデバイスなど様々でした。

次回のIEEE MEMS(2025年1月19日~23日)は台湾の高雄で開催される予定です。

2. 研究テーマと討論内容

本会議では、“Pillar-type laser-induced graphene airflow sensor assembled via kirigami / origami technique” というテーマでポスター発表を行いました。


発表の様子

本研究では、昆虫の感覚毛にインスパイアされた風速センサを、レーザ加工プロセスと切り紙折り紙構造を用いて製作しました。センサは十字型の梁と中心に垂直に立つピラーから成り、各梁の根元にはひずみゲージが印刷されています。ピラーに風が当たると梁が変形し、ひずみゲージの抵抗値が変化することで風速を計測できます。従来このようなセンサはシリコンを用いた半導体プロセスによって製作されていましたが、この方法ではピラーの座屈、中心からのずれといった形状誤差が課題でした。そこで私は、柔軟なポリイミドフィルムに切り込みを入れ折り曲げて構造的に自立させる「切り紙折り紙構造」を用いることで、モノリシックな風速センサを実現し、従来の課題を解決できると考えました。また、UVレーザでフィルムをカットし、ファイバーレーザでひずみゲージ(レーザ誘起グラフェン:LIG)を印刷することで、プロセスの簡易化を図りました。製作したセンサは2 cm四方の大きさとなりました。センサの出力は-12 m/sから12 m/sの範囲で風速に対し2乗に応答し、理論通りの結果が得られました。また、風向に対しては正弦波状の応答を示し、このことから提案したセンサが2軸の風向・風速を計測可能なことが示唆されました。

発表では、世界中のMEMS分野の研究者たちとのディスカッションを行いました。特に切り紙折り紙構造を用いたプロセスに関して多くの質問を受けました。MEMS分野のセンサにおける最も一般的なプロセスはシリコンを用いたものであるため、本研究のプロセスに対して興味深さや期待の声が多く聞かれました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)


バンケットの様子

本会議への参加が、私にとって初の世界規模の国際学会参加の経験となりました。そこで、世界中の研究者たちと交流を行い、幅広い知識や自分の研究に活かせる知見を得ることを目的としました。発表時のディスカッションでは、自身の研究に関して様々な方からの意見を聞くことができ、今後の研究を行う上での大きな財産になりました。また、このような大きな会議で無事に発表を終えられたことは、今後の学会参加に向けて大きな自信となりました。他の研究者の発表の際には、主に新規プロセスに焦点を当てて話を聞きました。慣れない英語ながらも積極的に声をかけ議論したことで、プロシーディングを読んだだけでは分からなかった詳細な技術について学ぶことができました。

最後に、本学会の参加にあたり、一般財団法人丸文財団に多大なるご支援をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。

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