国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
馬 慶源
(電気通信大学 庄司研究室)
会議名
SPIE Photonics West 2024
期日
2024年1月27日~2月1日
開催地
The Moscone Center, San Francisco, California, USA

1. 国際会議の概要


SPIE会場にあるLOGO

アメリカ国際光学工学協会(SPIE)が主催するSPIE Photonics Westは、北米最大の光学関連の貿易展示会として確立され、光電子産業の世界的にも有名な展示会の一つとなっている。展覧会は創設以来、着実に成長し、特に最近の数年間の発展は目を見張るものがある。技術とトレンド、革新が展覧会の魅力と価値となり、ここではより多くの科学技術や先進技術に直接触れることができる。この展覧会は毎年多くの高度な専門家を引き付けるもう一つの理由は、SPIE主催の多くの学術交流会が同時に開催され、その学術的雰囲気は世界の同様の展覧会よりも濃くなっている。その展示会は専門の来場者のみ入場可能であり、主に研究機関、ハイテク企業、レーザーおよび光電子企業、医療技術の専門家、物理学者、化学者、エンジニア、システム開発業者、業界のサービスプロバイダーが集まる学会である。

2. 開催地であるサンフランシスコ

サンフランシスコ(英語: San Francisco, SF)、アメリカのカリフォルニア州に位置する太平洋沿岸の港湾都市で、世界的に有名なテクノロジー産業地帯であるシリコンバレーに近接している。世界でも重要な技術研究開発拠点の一つであり、アメリカ西海岸の重要な金融センターである。また、国連の誕生地でもあった。1769年、この地がスペイン人によって発見され、1848年にはアメリカ合衆国に加盟した。

英語や日本語と違い、中国語では、サンフランシスコを「旧金山」と呼んでいる。19世紀中頃には、ゴールドラッシュ(Gold Rush)の時代に急速に発展し、当時の華僑たちによって「金山」と呼ばれたが、その後、オーストラリアのメルボルン(新しい金山)と区別するため、「旧金山」と改称されたようである。

著名な観光スポットにはゴールデンゲートブリッジ(Golden Gate Bridge)やフィッシャーマンズワーフ(Fisherman's Wharf)があり、気候は冬は温暖で夏は涼しく、日照時間が豊富である。次回の開催地はサンフランシスコ、日程は2025.1.25~2025.1.30予定である。


フィッシャーマンズワーフ(PIER 39)から眺めるゴールデンゲートブリッジ

フィッシャーマンズワーフ

3. 研究テーマと討論内容

SPIE Photonics West 2024で、「Enhancing Molecular Detection with Hollow Optical Waveguide Surface-Enhanced Raman Scattering Substrates」というタイトルでポスター発表をした。


発表している様子

一般的なSERS(表面増強ラマン散乱)分光法では、金属ナノ粒子が表面に装飾された平坦な基板が使用されている。サンプル溶液を基板上に滴下し乾燥され、サンプルにレーザー光を当たってSERSスペクトルを取得している。しかし、この基板上でのSERS活性面積のサイズは、レーザー露光領域のナノメートルスケールの表面層に制限される。光学顕微鏡を使用する場合、レーザー光の集光面積は数µm2程度であり、サンプル全体の表面積と比べて小さな領域である。本報告では、SERS表面積を増加させ、より効率的にSERSを励起するために、ガラス製のマイクロキャピラリーチューブの使用を示した。マイクロキャピラリーチューブとは、直径20µm、長さ20mmの中空型のガラス管である。キャピラリーチューブの内部表面には銀鏡反応で銀のナノ粒子が装飾されている。サンプル溶液はマイクロシリンジポンプを使用してチューブに導入され、その後、レーザー光がキャピラリーチューブの先端から導入される。レーザー光とSERSは波導モードでキャピラリーチューブ内を伝播していく。このキャピラリーチューブにより、全体のチューブ内の金属粒子を同時に使用し、すべてのSERS光をキャピラリーチューブの端までに誘導することが可能となった。このメカニズムにより、平坦なSERS基板と比較して、SERS検出の感度を成功に向上させることができ、センサーに応用する可能性についても議論した。

4. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回の会議は、初めて日本以外の国で参加した学術国際であった。国際会議への参加は、私にとって非常に充実した経験であった。まず、コミュニケーション能力の向上が挙げられる。様々な国籍や文化的背景を持つ参加者と交流する中で、異なる視点やアプローチを理解し、自分の考えを明確に伝えるスキルを身につけることができた。特に、英語を使っている参加者とのコミュニケーションでは、言語の壁を乗り越えるための努力が求められたが、それが新たな視野を開くきっかけとなった。さらに、国際交流の面でも多くの成果を得ることができた。他国の研究者やビジネスリーダーとの議論を通じて、相互の文化や価値観を理解し合うことができた。これにより、将来的な共同研究プロジェクトや国際的なビジネス展開の可能性が拡大した。最後に、この国際会議への参加は、私にとって非常に有益な学びの場であっただけでなく、貴重的な経験でもあった。最新の研究成果や業界のトレンドに触れることができ、自分の専門分野における理解が深まった。また、他国の文化や社会についても新たな知識を得ることができ、自己成長につながる貴重な機会であった。

最後に、本報告書を通じて、貴財団のご支援に対する深い感謝の意を表明したい。貴財団の助成金により、新たな知識の獲得や国際交流の機会を得ることができ、今後の研究活動や学術的な成長に大きな影響を与えることと存じる。今後も積極的に国際会議への参加し、国際的な交流と共同研究の促進に努めていきたいと思っている。


開催地であるサンフランシスコ市内の朝景色

SPIE会場で出会った疲れたワンちゃん

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