国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
木村 朝陽
(関東学院大学 大学院工学研究科 機械工学専攻)
会議名
XXXV EUROSENSORS Conference (Eurosensors 2023)
期日
2023年9月10日~13日
開催地
レッチェ・イタリア

1. 国際会議の概要

国際会議EUROSENSORSは欧州を中心としたセンサ・アクチュエータとMEMS関連技術の発表の場として、毎年欧州各地で巡回開催されている国際会議である。毎年、先端機能材料、化学/バイオセンサ、マイクロ・ナノ加工、MEMSなどの分野の研究者が参加し、議論が行われている。本会議で発表するためには、アブストラクトを投稿し、複数の査読者による審査により採択される必要がある。

今年度のEUROSENSORS 2023は、2023年9月10日から13日の日程で、レッチェ(イタリア)のGrand Hotel Tizianoで開催された。本会議は16セッションで構成されており、344件(口頭発表260件、ポスター発表75件、基調講演4件、招待公演5件)の発表が行われた。本年度のアブストラクトの投稿総数は410件であり、Late Newsを含めた最終の採択率は82%であった。本会議の参加登録者数は約600名(37か国)であり、会議初日(10日)にWelcome Party、2日目(12日)にConference Dinnerが行われた。

会議2日目(11日)の朝にOpening Ceremonyが行われ、その後に基調講演が行われた。Loes Segerink教授(Twente大学・オランダ)の基調講演(Technological Challenges in Organ-On-Chips)は、人体の臓器を模倣したデバイスであり、大変興味深く聴講した。また、バイオセンサ、ナノマテリアルに関する発表が多くあり、口頭発表やポスターセッションなどにおいて、ヨーロッパの研究者と交流できた。来年度のEUROSNSOR S2024は、2024年9月1日~4日にデブレツェン(ハンガリー)で開催される予定である。


会場外の様子

会場内の様子

2. 研究テーマと討論内容

国際会議の2日目(11日)の10:15~11:30のセッション(ADVANCED MATERIALS FOR SENSORS I)において口頭発表(発表12分、質疑3分)を実施した。


発表中の様子

妊娠検査で検出されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG) 抗原を検出できる抗原検査薬(テストストリップ)には、球状金ナノ粒子が赤色の標識として用いられている。粒子サイズの均一な球状金ナノ粒子は赤色の発色強度が強いので、低コストで検査薬を作成できるが、均一なサイズの粒子を合成することは困難である。一方、三角形平板状金ナノプレートは青色で発色強度が球状金ナノ粒子よりも強いため抗原検査の標識に用いることにより検査薬の低コスト化が可能になる。しかし、三角形平板状金ナノプレートは合成が困難であり、容易に優れた再現性で合成することが困難であった。

本発表では還元剤の配合を調整することにより優れた再現性の三角形平板状金ナノプレートの合成法を見出し、さらに三角形平板状金ナノプレートの妊娠検査薬の標識への応用を検討した結果、三角形平板状金ナノプレートを標識材料として用いることにより抗原検査薬で使用する抗体量を大幅に低減できることを報告した。発表の後の質疑では、三角形平板状金ナノプレートの形状などの評価方法について質問があり、今後の発表などで注意するべき点がわかった。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本国際会議で研究成果を発表することで、私にとって良い経験となった。また、発表やConference Dinnerにおいて多くの研究者と交流することができ、非常に有意義な時間を過ごすことができた。口頭発表では質疑応答の際に、相手の質問の意図が理解できずに終わってしまい、もっと英語力を身につけなくてはならないことを痛感した。しかし、各国の学生や研究者の発表を聴くことで、研究への新たなアイディアや意欲が湧いた。

最後に、今回の国際会議に参加するにあたり多大なるご支援を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。

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