国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
Alizadehkolagar Seyedmehrzad
(大阪大学 大学院工学研究科)
会議名
244th ECS Meeting
期日
2023年10月8日~12日
開催地
Swedish Exhibition & Congress Centre, Gothenburg, Sweden

1. 国際会議の概要

この度、令和5年度丸文財団国際交流助成による支援を受け、2023年10月8日~10月12日にわたり、第244回 ECS Meetingに参加した。本国際会議は年に2回開催され、今回はスウェーデンのイェーテボリにある「Swedish Exhibition & Congress Centre」で開催された。会議期間中、3,200以上の発表が行われ、64か国から多くの参加者が集まった。さらに、今年のECS Meetingでは、合計462のセッションが実施され、電気化学分野において世界で最も大規模な学会の一つである。私は本会議でポスター発表を行い、研究成果を広く発信する貴重な機会を得た。

  

2. 研究テーマと討論内容

発表した研究題目は「Optimization of Material Distribution in Electrodes of Power Generating Devices: A Mixed Approach」である。

水素は新たなエネルギー源として注目されている中、特に固体高分子形燃料電池(PEFC)を用いた高効率発電に対して大きな期待が寄せられている。PEFCの電極触媒層の多孔質構造は、電池セルの性能に大きな影響を及ぼすため、その効率向上が重要視されている。本発表では、数理科学的なアプローチを駆使し、電気化学システムにおける最適な構造の導出に成功した。具体的には、随伴変数法を用いたトポロジー最適化を通じて、触媒材料、電解質材料(アイオノマー)、および空孔の最適な分布を、全過電圧を評価関数として導き出した。本研究において、電気化学発電システムにおける従来のトポロジー最適化アプローチを進化させ、新たに「Mixed Topology Optimization」と呼ばれる手法を提案した。新しい提案手法は、従来のアプローチと異なっており、最大電力点の向上に焦点を当て、セルフガイダンス機能を活用することで、最適化の開始点を事前に決定する必要がない。その結果、最適化された設計において、複雑な木の根のような形状が生成され、一次および二次拡散チャネルが反応物質の供給を促進する役割を果たした。

発表には15名ほどの聴講者が訪れ、質問を交えた議論を交わした。参加者は、電極構造の最適化に使用した方法に関心を示した。本研究で使用された数値アプローチ、この方法の他の応用への活用、結果の実用的な実装について、参加者と詳細な議論を行った。会場閉設までポスターを見ていただくことができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

海外訪問における経験について、この会議への参加は私にとって非常に有意義で貴重な経験となった。会議では世界中の専門家と交流し、最新の研究成果や技術動向を学ぶことができた。異なる文化や背景を持つ研究者との議論や意見交換は、私の研究に対する新たな視点をもたらし、研究の質を向上させる上で大いに役立った。また、会議期間中に参加した「Student Mixer」などの追加イベントも専門的なネットワークを築くことに有用な時間だった。会議では、電気化学に関する最先端の研究が発表され、自分の研究分野に直接関連する多数の招待講演および口頭・ポスター発表が行われた。数値シミュレーションや実験的研究から基礎および応用研究に至るまで、電気化学分野における幅広いトピックがカバーされていた。この会議では英語が使用されていたため、英語によるプレゼンテーションスキルの向上も図ることができた。ポスター発表では、研究成果を図やグラフとともに参加者に紹介し、さらなる議論を促した。また、発表内容に詳しい研究者から多数のフィードバックを受け、これにより、研究の品質向上や今後の展望についての洞察を得ることができた。さらに、自分の研究分野以外のセッションや発表にも積極的に参加し、他の研究者との交流を図った。異なる視点やアプローチからの情報交換は、私の研究に新たな洞察をもたらし、幅広い研究者との意見交換の機会を提供した。

この会議への参加を支えてくださった貴財団に、心より感謝申し上げます。

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