国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和4年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
渡辺 智貴
(徳島大学 大学院先端技術科学教育部 システム創生工学専攻)
会議名
SPIE Optics and Photonics 2022
期日
2022年8月21日~25日
開催地
Convention Center, San Diego, California, USA

1. 国際会議の概要

SPIE Optics & Photonicsは、SPIE Photonics Westと並び、光工学分野で最高峰の国際学会です。毎年夏にアメリカ、サン・ディエゴで開催され、48のトピックで2,000件以上の発表と最新の技術成果を共有できる重要な会議である。特に、光工学とその応用、ナノテクノロジー、量子科学、有機フォトニクスについて議論を深めることができる。自身の研究の発展・研究者としてのネットワークを拡げる上でも大変重要性の高い会議である。今年のSPIE Optics & Photonics 2022は、コロナ流行後初の完全対面会議であった。そのため、オンライン上でのコミュニケーション以上に深いコミュニケーションと議論を行うことが可能であった。非常に多くの国から参加者がサン・ディエゴに集い、発表の場だけでなくドリンクスペースやポスター会場、活発な交流を行うことができた。


会場入口(Convention Center)

会場入口に設置されていた看板

2. 研究テーマと討論内容

報告者は、“Optical Geometry Dependent Scattering Analysis of Gold Semi-Shell structures Using Propagating Surface Plasmon Polariton”という題目でポスター講演を行った。本発表では、誘電体微小球の一部が金属で覆われた金属ナノ構造(セミシェル構造)の配向制御に関する研究成果を報告した。


発表に使用したポスター
(写真に写っているのは報告者本人)

セミシェル構造は光学的異方性や大きな吸収断面積などの特性を持つ魅力的な複合ナノ材料である。しかし、セミシェル構造の光学異方性を十分に活用するための配置技術はまだ確立されていない。また、光学的方向による光学特性の違いも実験的に明らかではない。報告者らは、チオール基を末端基とする自己組織化単分子膜(SAM)を用いてセミシェル構造の配向を制御することにより、光学異方性を有する大面積メタマテリアルの実現を目指している。これらの構造は、センサーや光熱変換素子への応用が期待される。本研究では、セミシェル構造の光学的方向に対する光学特性を評価するために、伝播型表面プラズモンを用いた散乱光スペクトル測定を行った。実験で取得したデータと数値シミュレーションの結果から、ある範囲内の構造の配向性に関する統計データを得た。その結果、SAMがセミシェルの配向制御に対して優位な効果を発揮していることを示すことができた。

発表を通して、今後研究を進める上で有益な質問や意見をいくつかいただいた。その中で、測定データをより精度良く得るための光学系での工夫についてアドバイスをいただいた。これからも研究で光学系を組んでいくため、大変有意義であった。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本国際会議では、現地開催ということで、多くの議論を交わすことができた。申請者のポスターセッションでは10人を超える研究者に研究成果について議論を交わすことができた。自身の研究の発展性についてのことや、検討を行った方が良い箇所の指摘等貴重な意見をいただき、自分では気づかなかったアイディアを得ることができた。また、その中で次の進路についての相談なども行うことができ、研究ネットワークを国際的に拡げることができた。また、SPIEが主催するSPIEメンバーとのレセプションイベントにも積極的に参加することで同世代の研究者とコミュニケーションを図ることができた。

最後に、この度の国際会議参加にあたりご支援いただきましたこと、貴財団に心より御礼申し上げます。

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