国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和4年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
奥村 皐月
(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻)
会議名
Applied Superconductivity Conference 2022 (ASC 2022)
期日
2022年10月23日~28日
開催地
Hawaii Convention Center, Hawaii, USA

1. 国際会議の概要


開会式会場の様子

The Applied Superconductivity Conference (ASC) は応用超電導分野における最新の研究に焦点を当てた国際会議である。ASCは1966年にBrookhaven (NY) で初めて開催され、Austin (TX) (1967)に続き、1968年以降は隔年でアメリカの都市で開催されている。今回はHonolulu (HI) のHawaii Convention Centerにて10月23日から28日の6日間にわたり開催された。今回のASCではElectronicsが475件、Large Scaleが880件、Materialsが334件の計1,689件のアブストラクトが提出された。10程度の会場において口頭発表が並行して行われ、大ホールにてポスター発表が行われた。

次回のASCはユタ州ソルトレイクシティにて2024年に開催される予定である。

2. 研究テーマと討論内容

本会議では“FEM analysis of rotational losses in superconducting magnetic bearings using a coupled H-φ and A-V formulation”という題目でポスター発表を行った。本発表では3次元超電導数値解析を用いた超電導磁気軸受(SMB)の回転損失特性を電磁気学的に明らかにしたことを扱った。


発表中の様子

SMBは永久磁石や磁性材料を含む回転子と超電導体を含む固定子で構成される構造が一般的である。低損失、長寿命、省メンテナンスという特徴からフライホイールエネルギー貯蔵システムや人工衛星搭載用軸受への応用が検討されている。研究対象としている人工衛星搭載用SMBは直径が大きいことから回転子と固定子はそれぞれ分割されている。このような構造からSMBを設計する際には回転損失特性を含む電磁界特性を詳細に検討し、最善な設計を行うことが重要である。本研究では3次元超電導数値解析を行い、回転子や固定子が分割されていることの影響を評価した。回転子と固定子の両方が分割されていることによる磁場の非軸対称性が回転損失の原因の中で支配的であることが分かった。この成果は回転損失を低減することができるSMBの構造の検討に役立つ。

本発表には各国の大学・研究所の研究者やヨーロッパの企業の方等、多くの研究者の方々が発表を聞きに来てくださった。3次元超電導数値解析の手法や研究結果に対する電磁気学的な考察、今後の展望に関する質問等多くの質問をいただき、参考資料をiPad等で見せながら丁寧に説明を行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

会議では6日間にわたって口頭発表とポスター発表が行われた。その中で3日目の“Levitation, Transportation, and Propulsion - Magnetic Levitation and Bearings III”のセッションで発表を行い、20名以上の多くの研究者の方々と議論をすることができた。本セッションや他のセッションでほかにも超電導数値解析に関する研究発表があり、同分野の最新の研究について知るとともに最先端の研究を行っている研究者と議論を交わすことができ、非常に有意義な時間を過ごすことができた。国内外で発表し、世界の舞台で研究を磨き上げていくことの大切さを学んだ。また、科学技術の発展のために一層研究に邁進していきたいと考えた。今後も交流を大切にし、国際学会や論文誌への投稿を意欲的に行いたい。

最後に、本国際会議への参加にあたり多大なご支援を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。

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