国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和4年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
有田 智貴
(近畿大学 大学院総合理工学研究科 エレクトロニクス系工学専攻)
会議名
The 41st International Congress on Applications of Lasers & Electro-Optics (ICALEO2022)
期日
2022年10月17日~20日
開催地
Orlando, Florida, USA

1. 国際会議の概要

41th International Congress on Applications of Lasers & Electro-optics (ICALEO 2022) は、The Laser Institute of America (LIA) が主催するレーザ加工に関する世界最大の国際会議の1つで2022年10月17日~20日に米国フロリダ州オーランドで対面開催された。ICALEO 2022ではOpening Plenaryとして2件の講演が行われた。今回のICALEOは協賛団体としてNASAが含まれており、宇宙とレーザをテーマに講演がなされた。その後レーザマクロ加工の「MACRO」、レーザ微細加工の「MICRO」、レーザ積層造形の「LAM」、レーザによる新技術の「FLA」の4つのテーマに分かれて会議が行われた。10月17日17時からポスターセッションが開催された。ポスターセッションは、5分のショートプレゼンテーションを行い、その後、ポスターの前で詳細を説明し、討論を行った。Closing PlenaryではNASAの宇宙飛行士のDr. Don Thomas が「Overcoming Obstacles and Reaching for the Stars!」と題して講演を行った。特に1944年に宇宙にスペースラブに行った時の実験の様子や宇宙での生活について説明した。最終日にはエクスカージョンとして、ケネディ宇宙センターの見学が企画された。当日は、幸運にもSpaceXの打ち上げ日と重なり、ロケット打上げの瞬間に立ち会うことができた。


図1 ICALEOの会場の様子

図2 ポスターセッションの様子

2. 研究テーマと討論内容


図3 ショートプレゼンの様子

私は「In situ observation of keyhole and molten pool in laser welding for development of spatter suppression」と題して、研究成果をポスター発表した。セッションが開始されて間もなく、図3に示すように壇上で5分のショートプレゼンテーションを行った。研究概要は、レーザ溶接ではレーザを金属に照射すると照射部が溶融すると同時にスパッタが発生する。スパッタは溶接部の減肉など溶接欠陥形成因子となるため、スパッタを抑制した手法の開発が求められている。これまでに減圧下でレーザを照射するとスパッタが削減することを明らかにしているが、その抑制メカニズムは明らかになっていない。

そこで本研究では、レーザ照射時に形成される溶融池の挙動と温度分布を同時に計測可能な温度分布リアルタイム解析法を開発し、本手法を用いて溶融池観察を行った。その結果、溶融池断面積ならびに溶融池温度分布が圧力に依存して大きく変化していることを捉えることに成功した。特にレーザによって形成される溶融池形状の時間変化とその温度分布からレーザエネルギーの熱遷移効率を導出した結果、雰囲気圧力に依存して、溶融池形成に遷移するレーザの熱遷移効率は雰囲気圧力が減圧するほど高くなっていることを明らかにした。

討論内容は、真空溶接以外のスパッタ発生量を減少させる手法を用いて、溶融池の縦断面の温度分布の観察を行ってみると良いというアドバイスを受けたり、溶融池の温度はどのような手法で測定しているのかなど質問を受けたりした.

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ICALEOでは、プレナリーセッションの聴講、「MACRO」セッションの聴講を行った。さらに「Welcome Reception」、「Laser Industry Exhibitor Reception」、「Awards Luncheon」、「Networking Break」、「LIA's Running Club」など会議の他に様々な交流を促す様なイベントが多数企画され、積極的に参加し、ドイツやアメリカの研究者や先生方と交流を深めることができた。

私は初めての対面での国際会議への出席で、自分の英語が通じるのかとても不安でしたが、多くの海外の方々に英語でプレゼンすることができたのはとても自信になった。また研究に関しても様々な意見やアドバイスをいただくとともに、研究の方向性などを探ることができ、とても勉強になった。

英語での会話や聴講では、理解できないことや返答できないことも多く、先生の助けを借りる場面が多々あり、自分の英語力の低さを痛感した。これからはグローバルな社会に貢献できる技術者になるためには英語は必須の言語となるので、英語力の向上により一層取り組んで行こうと決意を新たにした。

今回の国際会議の出席にあたり、貴財団よりご支援をいただきまして心より御礼を申し上げます。

令和4年度 国際交流助成受領者一覧に戻る

ページの先頭へ