国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和2年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
川勝 太郎
(大阪府立大学 工学研究科 電子・数物系専攻)
会議名
The 14th Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO PR 2020)
期日
2020年8月2日~6日
開催地
[オンライン開催] (当初予定されていた会場はSydney, Australia)

1. 国際会議の概要

オンライン会議のプラットフォーム
ここから各セッションの録画を視聴できる

The 14th Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO PR 2020) は環太平洋地域にて1年おきに開催されるレーザと電気、光学分野の国際学会である。研究発表の分野は、レーザや量子光学の基礎物理学からデバイス開発、システム工学、アプリケーションまで多岐にわたり、環太平洋地域でも有数のフォーラムである。この会議では口頭やポスターでの研究発表だけでなく、プラナリーセッション、招待講演、ワークショップも行われる。

今回はシドニーのThe International Convention Centreで開催される予定であったが、新型コロナウイルスの影響で初のオンライン開催となった。オンラインである利点を生かして、会議終了後3カ月間は会議の録画を視聴できるようになっている。

次回は2022年7月31日から8月5日まで、札幌の札幌コンベンションセンターで開催される予定である。

2. 研究テーマと討論内容

“Raman Scattering Emission from a Silicon Nanocavity Excited by a Superluminescent Diode”というタイトルで15分間の口頭発表を行った。

これまで我々は、フォトニック結晶高Q値ナノ共振器を用いたシリコンラマンレーザの特性解明と性能向上について研究してきた。シリコンラマンレーザは電気回路との親和性が高いという特徴をもつが、励起光としてレーザが必要という課題がある。今後、光増幅器やセンサへの応用を目指す上でこの課題の克服は不可欠である。

口頭発表の様子

そこで、励起光源にSuperluminescent Diode (SLD) を用いて初のラマン散乱を確認することを目的に研究を行った。SLDはレーザとLEDの中間のような性質をもつ光源であり、レーザよりも小型で安価である。SLDを用いてシリコンラマンレーザの発振を実現できれば、温度安定性の向上や複数同時発振の実現が可能だと考えられる。

効率よく励起可能な高Q値サンプルを用意し、ラマン散乱の観測を行った。その結果、レーザ発振には至らなかったものの、強い自然ラマン散乱光を観測することができた。得られた出力をレーザ励起の場合と比較すると、おおよそ閾値の1/25であると分かった。

光損失の削減により発振は可能だと考えられるため、今後はサンプル構造や測定系の改善に取り組む予定である。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回の国際会議は、2回目の英語での研究発表でした。去年中国で国際会議に参加した際に意思疎通がうまくいかなかったため、今回は入念に発表準備を行いました。そのため、聞いている人に研究内容と成果をしっかりと伝えることができたと感じています。話し方だけではなく、スライドの見せ方など準備や質疑応答から得られた学びは多く、有意義な会議でした。

しかし、後日自分の発表を聞き返してみたところ、やはり日本語っぽい発音だったため伝わりにくかったのではないかと気になりました。そこで、さらに英語でのコミュニケーション能力を磨き、今後英語で発表するときにはもっと伝わりやすい英語を話したいと考えています。

最後に、本会議に参加するにあたりご支援いただきました貴財団に心より御礼申し上げます。

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