国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和2年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
藤田 貴紀
(山梨大学 大学院医工農学総合教育部 工学専攻)
会議名
Applied Superconducting Conference 2020 (ASC 2020)
期日
2020年10月24日~11月7日
開催地
[オンライン開催] (当初開催予定地:アメリカ合衆国 フロリダ州 タンパ)

1. 国際会議の概要

ASC (Applied Superconductivity Conference) は2年ごとにアメリカで開催される超伝導応用に関する国際会議である。当初、2020年の開催地はフロリダ州中部に位置する大都市、タンパで開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴いオンラインでの開催に変更された。10月24日から11月7日の2週間余りにわたってオーラル発表、ポスター発表がオンライン上で行われ、材料研究やエレクトロニクス応用など様々な分野の超伝導応用研究が報告された。

2. 研究テーマと討論内容

今回、“Design of High Quality Factor Spiral Antenna Structure Using Superconducting Bulk in High Frequency Range”という題目でポスター発表を行った。

近年、電気自動車やドローンなどへのワイヤレス充電の関心が高まっていることにより、ワイヤレス電力伝送(WPT)の研究が急速に発展している。これらの機器にWPTシステムを実装するためには送電コイルと受電コイル間で高い電力伝送効率を実現する必要がある。しかし、銅を用いて作製される従来の送受電コイルでは電気抵抗によって電力伝送効率が制限されてしまうため、電力伝送効率を改善することは困難である。本研究ではこの課題を解決するために、超伝導バルクを加工して作製した超伝導バルクコイルを提案した。従来の銅コイルとは異なり、超伝導バルクコイルは電気抵抗が極めて小さいため電力伝送効率の改善が期待される。本発表では超伝導バルクコイルが高いQ値(コイルの性能を表すパラメータ)をもつ構造の検討、強度の低いバルクを補強するための支持材、超伝導バルクコイルのQ値の測定とそれに基づいた導電率の推定について報告した。

他の発表を拝見してみると超伝導線材を用いてコイルを作製し、電気自動車や鉄道へのWPTを目指した例を数件確認できた。今後、本研究でも課題となってくる超伝導コイルの耐電力について議論されており、大変参考になった。また、本研究のポスターデータの送信を求められることもあり、多くの方に興味を持っていただけた。

オンラインポスター発表

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

異例の事態により、一般的な学会発表とは異なるオンラインでの発表で戸惑う部分もあったが、自分の理解を広げる貴重な経験になった。一般的なポスター発表では自分と同じ時間の他の発表を拝見することはできないが、今回の形式では閲覧することができ、知見が深まった。また、発表者間で容易にポスターの送受信や連絡先の交換が行えるようになっており、海外の研究者との交流が深まった。しかし、英語であるために理解が追い付かない場面もあり、能力不足を痛感した。今後は英語学習にも力を入れ、関連する専門用語等も吸収していきたい。

最後に、本会議の参加にあたり、多大なるご支援をいただきました一般財団法人丸文財団に心から感謝申し上げます。

令和2年度 国際交流助成受領者一覧に戻る

ページの先頭へ