国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和元年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
難波 空
(岩手大学 総合科学研究科 理工学専攻)
会議名
14th European Conference on Applied Superconductivity (EUCAS 2019)
期日
2019年9月1日~5日
開催地
Scottish Event Campus, Glasgow, United Kingdom

1. 国際会議の概要

学会会場となったScottish Event Campus

European Conference on Applied Superconductivity (EUCAS) は2年に1度、ヨーロッパで開催される超伝導に関する国際学会である。14回目となる今回は9月1日から5日までスコットランド、グラスゴーで開催された。現在、超伝導技術は社会実装の段階に入りつつあり、実応用へ向けた研究開発が世界各国で進んでいる。本学会にはヨーロッパを中心に1,000人以上の研究者、学生が参加し、Electronics, Large Scale, Materialと幅広い分野の基礎研究から応用研究に関する研究報告がオーラル、ポスター発表合わせて約900件行われた。また、著名な研究者による最先端の様々な超電導応用技術を題材とした基調講演が4件行われた。バンケットではスコッチウイスキーが振舞われるなど、スコットランド文化の一端に触れることもできた。

2. 研究テーマと討論内容

発表の様子

「A Hybrid Trapped Field Magnet (HTFML) : concept and realization」という題目でポスター発表を行った。

REBaCuO系超電導バルクは「磁束ピン止め効果」を用いて、ネオジム系永久磁石(~1 T)の10倍以上の高磁場をバルク体に捕捉できる。一方、超電導の「磁気シールド効果」を利用したバルク磁気レンズは外部磁場をレンズ中心に収束し、外部磁場の2倍程度高い磁場を発生することができる。我々は超電導バルク磁石と磁気レンズを組み合わせたハイブリッド型バルク磁石レンズ(HTFML)を提案した。これは超電導バルク磁石が捕捉した磁場をレンズ中心に収束することで、外部磁場より大きな磁場を持続的に発生できる。HTFMLはバルク磁石単体では到達できなかった高磁場発生を可能とし、超電導バルクを用いたあらゆる応用において発生磁場増大に大きく貢献する可能性を秘めた新しいデバイスである。本研究では、2つの超電導バルクで構成したHTFMLの実証実験を77Kで行った結果について報告した。

発表では、どのように応用展開していくのかという点について検討、議論を行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

EUCASで発表できたことは、自身にとって有意義で貴重な経験となりました。ポスター発表では、多くの国内外の研究者とディスカッションし、今まで気づいていなかった視点からのコメントやアドバイスなどをいただくことができ、今後の研究に対して役立てていきたい。英語コミュニケーションに関しては、ある程度のやり取りはできたので、大きな自信となったが、より深い議論を円滑に行うためには更なる語学能力向上が必要であると痛感した。
また、会議中には共同研究を行っている国外の大学の先生方や学生と最近の研究についてディスカッションすることもでき、大変有意義であった。
このような場に参加したことで、自身の視野を広げる経験となった。今後は国外にも関心を向けることが重要であると感じました。

最後に、本会議への参加に際し、一般財団法人丸文財団から多大なご支援を賜りました。この場を借りて心より感謝申し上げます。

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