国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和元年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
中山 篤志
(大阪大学 大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻)
会議名
SPIE Optics + Photonics 2019
期日
2019年8月11日~15日
開催地
San Diego, California, United States

1. 国際会議の概要

私が参加したSPIE Optics + Photonics は毎年アメリカ、サンディエゴにて開催されており、参加人数4,000人、発表論文数約3,000件と北米最大規模の応用光学の学際的学会として位置づけられています。本学会では、メタマテリアル、プラズモニクス、ナノイメージング、フォトリソグラフィなど、ナノサイエンスとナノフォトニクスを主要に、40を超えるセッションが5日間にわたり開催されました。2014年ノーベル化学賞受賞者のWilliam E. Moerner による基調講演も行われました。

私が発表を行ったセッション「UV and Higher Energy Photonics : From Materials to Application 2019」では、紫外光技術とナノ材料科学・光化学・顕微鏡・分光法・プラズモニクスなど、非古典的技術との融合による紫外技術の新しい応用を議論しており、世界でも他に類を見ない紫外分野の学術的会議でした。

また、学生チャプターに関するイベントも併催されており、論文の書き方や伝わるプレゼンの方法など研究活動に必要なスキル等を学ぶこともできました。

2. 研究テーマと討論内容

私の研究テーマは、非線形光学現象を利用した3次元ナノ光造形法の開発です。特に、紫外光による光化学反応を利用しています。

光造形法では、高分解能化が求められています。現在、励起光の短波長化による高分解能化が主流であり、深紫外光が励起光として用いられています。しかし、深紫外光に用いられる光学系や対物レンズには技術的課題がありました。また、原理的に2次元平面での加工に限定されており、3次元造形は困難でした。私たちの研究グループは、可視光の非線形光学現象を利用した、3次元ナノ造形法を提案しました。可視光光学系を用いるため、深紫外光光学系で懸念されていた制限を考慮する必要がなくなりました。また、非線形光学現象を利用しているため、3次元加工性を有しており、3次元ナノ造形を可能にしました。

20分の口頭発表の中で、様々な分野の研究者と議論ができました。特に、金属酸化物を専門とする研究者の方からの質問・コメントは、とても新鮮であり、今後の研究において有益なものでした。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回、世界最大規模の応用光学学会に参加し、発表を行ったことは、非常に大きな経験になりました。普段の研究室内の発表は英語で行なってきたため、英語での発表・議論も十分できたと感じました。私が発表を行ったセッションでは、様々な分野の研究者が参加し、学際的な議論を深めることができ、有意義な時間を過ごすことができました。また、ノーベル賞受賞者をはじめとする、世界的に著名な研究者の講演も聞くことができ、貴重な経験となりました。今後も、このような素晴らしい国際会議にて参加・発表できるように、研究に励みたいと思いました。

また、学生チャプターの活動報告会にも参加し、世界各国の同年代との学生とも交流することができました。これまでのチャプター活動に自信を持つことができ、今後のチャプター活動の方向性を再確認できました。

最後になりますが、本会議に参加するにあたり、丸文財団の皆様のおかげで、このような貴重な経験を得ることができました。心より感謝申し上げます。

令和元年度 国際交流助成受領者一覧に戻る

ページの先頭へ