国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和元年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
永澤 延元
(兵庫県立大学 大学院物質理学研究科)
会議名
International Conference on the Applications of the Mössbauer Effect (ICAME 2019)
期日
2019年9月1日~6日
開催地
大連(中国)

1. 国際会議の概要

国際会議会場となった、大連化学物理研究所での写真

CInternational Conference on the Applications of the Mössbauer Effect (ICAME 2019) は、原子核におけるγ線の無反跳共鳴吸収現象であるメスバウアー(Mössbuaer)効果の応用に関する国際会議です。測定手法をテーマにした会議であるため、発表者の研究分野は多岐にわたります。今回の国際会議には70件の口頭発表と87件のポスター発表がありました。

ICAME2019は9月1日から9月6日の6日間で、前日の8月31日には放射光や自由電子レーザー施設を利用した測定手法についてのシンポジウムが開催されました。また、会議中にはメスバウアー効果の応用に関する委員会であるInternational Conference on the Applications of the Mossbauer Effect (IBAME) のScientist award授賞式も併せてありました。エクスカーションとして、旅順市街にある旅順博物館の観光ツアーが行われました。会議最終日には、測定とデータ解析についてのワークショップが行われました。

2. 研究テーマと討論内容

受領者のポスター

“Synchrotron Radiation-based 61Ni Mössbauer Spectroscopy of Rare-earth Nickelates” というタイトルでポスター発表を行いました。

化学的に安定な物質が多い、銅酸化物高温超伝導体などを含む酸化物の物性についての研究は、機能性材料の開発において非常に有用です。私は温度変化で金属-絶縁体転移を示すRNiO3(R: 希土類) についての研究を行いました。RNiO3(R≠La) は温度変化に伴い金属-絶縁体転移を示し、R を変えることでその転移温度は変化します。またLaNiO3は金属-絶縁体転移を示さず、金属的な電気伝導性を示します。フェルミエネルギー近傍に位置するNi 3d電子の電子状態を調べるために、放射光を用いた61Ni Mössbauer分光測定を行った結果を中心に討論を行いました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

会場近くの街並み

ICAMEは測定手法がテーマになった国際会議であるため、研究分野が全く異なる方々と議論することができました。自身の英語コミュニケーション技術には自信がありませんでしたが、他分野の方と議論した際、思っていた以上にコミュニケーションが取れたので良かったと思います。互いに興味関心があれば、言語に関する能力はあまり重要でないと感じました。ポスターセッション中には、多くの方が私の発表に関心を持って質問、提言してくださいました。特に、分光学を専門とされている方の講演を聴き、またその方々と自身の発表内容について議論できたことは、今後の研究を進めるにあたって非常に参考になりました。

本会議の参加に対して惜しみないご支援をいただきました一般財団法人丸文財団に深く感謝いたします。

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