国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和元年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
溝口 岳
(千葉大学 大学院融合理工学府 基幹工学専攻)
会議名
IEEE International Ultrasonics Symposium 2019 (IEEE IUS 2019)
期日
2019年10月6日~9日
開催地
Glasgow, Scotland, UK

1. 国際会議の概要

会場であるSECセンター周辺の様子

IEEE International Ultrasonics Symposium (IUS) は、Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE) に属するUltrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control Society (UFFC) が中心となり開催する、超音波工学領域における世界最大規模かつ最重要の国際ポジウムである。本年度は、10月5日から9日の4日間にわたり、イギリス(スコットランド)のグラスゴーにて開催された (https://attend.ieee.org/ius-2019/)。参加者は、全体で約1,500人であった。

本会議の対象分野は医用応用、材料、物性、伝送など多岐にわたり、招待講演、口頭およびポスターにより講演・議論を行う。特に近年のプログラムでは、医療超音波分野におけるセッションの割合が高く、当該分野の先端研究者を含め関係者の大多数が参加することもあり、直接の議論およびコミュニケーションが可能な貴重な場でもある。また、若手研究者や博士課程学生のキャリア開発、学生間のネットワーク構築など目的としたワークショップも開催された。

来年度(IUS 2020)は、9月7日から11日の5日間にわたり、アメリカのラスベガスでの開催が予定されている。

2. 研究テーマと討論内容

発表中の様子

臨床現場では、多くの疾患の診断に超音波が広く使用され、近年では定量診断に関する新技術が多数提案されている。しかし、体内組織の計測条件に大きな制約があることと、計測の分解能を担保することが困難であるため、ミクロな組織性状を理解することが極めて困難な状況にある。それらの問題を打開するためには、現状に比して高周波数かつ高分解能な超音波ビームを用いた診断が不可欠である。一方で、そのようなビームを照射するためには極めて高額な専用システムが必要であるという問題がある。そこで本発表では、一般のアレイセンサに比して構造がシンプルであり、イメージング分野での実績を有するアニュラアレイセンサを定量診断に適用することを検討した。

発表については、“Comprehensive Scattering Characteristics Analysis of Rat Livers with High-Frequency Annular Array”という題目で、定量診断技術に関するセッションにてポスター発表を行った。具体的には、アニュラアレイセンサを用いることによるエコー信号の特性解析精度の向上、解析結果と実際の生体組織との対応関係の検証など、基礎実験から生体評価の結果までを総合的に報告した。その結果、関連研究を行っている多数の研究者および学生から興味を持っていただき、有意義なディスカッションおよび意見交換を行うことができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

IUSバンケット会場の外観

インペリアル・カレッジ・ロンドン

IEEE IUSへは、昨年に続いて2回目の参加となった。発表に関して、昨年は自分のポスターに対する質問を受けた際に説明することに終始してしまい、やや受け身がちであったが、今回は閲覧者らに自ら声をかけ、領域を代表する教授陣を含む多くの研究者と高い次元でディスカッションを行うことができ、大いに自信となった。また、発表以外にも関連研究者に会談の機会をいただき、個別に自身の研究に関する現状についての相談や、進路の報告などをすることができた。一方で、英語を通じて密に会話するには未だ多くの課題があると痛感したため、今後も英語力を高めていきたい。また、超音波分野で最重要な国際シンポジウムに参加したことで、最新の研究動向を知ることができただけでなく、自身の研究に関する課題や有用性を改めて理解できたため、総じて非常に有意義な時間を過ごすことができたと感じた。博士前期課程の修了後には医用機器開発販売事業者での勤務が決定しているが、多数の専門家から課題に対する思考方法や解決に向けた方法論などを学ぶことができたことは大きな財産となった。また、グラスゴー中心地で開催されたバンケットでは現地文化の紹介などもあり、学生からエキスパートまで垣根なくフランクに話をすることができたこともあり、学術とは異なる面からも国際的な見識を広めることができた。

さらに、IUSの終了後に、同国内のインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)にあるM. Tang教授の研究室を訪問し、光音響イメージング技術や血流動態解析技術に関する研究について、実験室の見学ののちにレクチャーを受けた。自身の研究テーマとは異なるが、医用超音波分野で近年注目されている分野であり、大変興味深い内容であった。さらに、海外の著名研究室を見学できたことは、今後の研究および医工学領域での活動への刺激となった。

本会議への参加は、自身の成長につながる貴重な経験であったとともに、今までお世話になった海外の共同研究者に直接お礼ができる最後の機会となった。一般財団法人丸文財団より多大なご支援を賜りましたことを心より感謝申し上げます。

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