国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和元年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
松方 妙子
(東京工業大学 物質理工学院 材料系)
会議名
The 9th International Conference on Surface Plasmon Photonics (SPP9)
期日
2019年5月26日~31日
開催地
Copenhagen, Denmark

1. 国際会議の概要

The International Conference on Surface Plasmon Photonics (SPP)は、隔年開催の非営利学会であり、プラズモニクスの分野で最も著名な学会として広く知られている。2001年の発足以来、欧州、アジア、アメリカの各地でこれまでに10回行われてきている。毎回、数百人規模のプラズモニクスに限定した学会の中では最大規模を誇る。

学会会場の様子

本2019年度、SPP9は、デンマークの首都コペンハーゲンにて、南デンマーク大学のSergey I. Bozhevlnyi博士をチェアーとして開催された。5月27-31日のオーラルセッションと5月30日のポスターセッションが行われた。本年のオーラルセッションは、同時に2セッションが行われる形式になっており、発表時間が20-35分設けられている。
Plenary Speakerとしては、本分野の先駆けとなる金属ナノホールにおける光の異常透過を発見したThomas Ebbesen博士の講演が行われた。

次回は2021年にUSAのライス大学にて、Naomi Halas博士をChairとして開催予定である。

2. 研究テーマと討論内容

“Higher-order electric and magnetic multipole modes visualized by STEM-cathodoluminescence”という題目で口頭発表を行った。

発表時の様子

Nano Opticsの分野では、エネルギー損失の大きい金属にかわり、誘電体への注目が強まっている。可視光域において、誘電体ナノ構造は、電気多極子のみならず、構造内部に電場を誘起する磁気多極子や動径方向に高次のモードを励起する。これらは、電気多極子と互いに干渉しあい、強い指向性を発揮する。これらの多極子モードを制御するために、励起モードのマッピングは有益な情報の一つである。しかし、誘電体ナノ構造におけるこれらのモード観測には、内部電場にアクセスしうる計測システムが必要とされる。

本発表は、電子線による励起モードの放射場観測(Cathodoluminescence(CL))を用いて、誘電体ナノ構造内部に電場を誘起する磁気多極子および動径高次多極子のモードマッピングを行ったという内容である。

本CL法は、放射場の角度・偏光分解によって、多極子モードの縮退を解くことができ、特定モードの選択的観測が可能である。このモード選択手法を用いた励起モードマッピングおよびマッピングメカニズムに関しての発表を行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

左)コペンハーゲン市長舎 右)市庁舎内レセプション会場

本学会参加は、自身にとって、海外で国際会議における初めての口頭発表の経験となった。国内学会では直面しない言語の壁がある中で強い緊張をしたものの、20分間のオーラル発表を終えることができた。

発表後には、複数の他国の研究者から発表に関しての意見交換を求められ、国際学会における発表の意義を強く感じた。会話を行う中で、新たな研究上の発見を得るとともに、言語面での学習努力の必要性を強く感じた。

また、ポスター発表では、興味ある発表を行っている発表者へ積極的に話しかけることができ、自身の研究テーマとは異なる研究についての知識を得る貴重な経験を得た。

本国際会議への参加および、そこで得た貴重な経験は、一般財団法人丸文財団からのご支援のおかげであり、この場を借りて、心より感謝申し上げます。

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