国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成30年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
是友 大地
(高知工科大学 大学院工学研究科 基盤工学専攻)
会議名
7th International Symposium on Transparent Conductive Materials (TCM2018)
期日
2018年10月14日~19日
開催地
Minoa Palace Hotel, Platanias - Chania, Greece

1. 国際会議の概要

7th International Symposium on Transparent Conductive Materials (TCM2018) は、2年に一度、ギリシャのクレタ島で開催される国際会議である。次世代エレクトロニクスデバイスの発展のため、透明ワイドギャップ材料の基礎研究およびデバイス応用の知見共有を目的としている。

今年の会議は「4th EMRS & MRS-J Bilateral Symposium」と合同で開催され、絶縁体・超伝導・半導体など様々な物性を示す酸化物材料に関して、バルク、薄膜、ヘテロ構造の材料物性ならびにデバイス応用まで多岐にわたった。期間は10月14日~19日であり、世界各国の大学、研究機関、企業から159件の口頭発表 (invited含む) と83件のポスター発表があり、活発な議論が行われた。

発表者 & 参加者の集合写真

2. 研究テーマと討論内容

「Device simulation study on carrier transport in hetero-junction channel In-Ga-Zn-O thin film transistors」というタイトルで口頭発表を行った。

曲げられる、高精細、透明といった次世代ディスプレイが提案され、スイッチングデバイスである薄膜トランジスタ(TFT)には新たな付加能力(高性能、透明、形状自由度)が要求されている。その中で、酸化物半導体In-Ga-Zn-O(IGZO)は高移動度、可視光透過性、室温成膜可能という優れた特性を有することから未来を拓く新材料として注目されている。本研究では、電気特性評価とデバイスシミュレーション解析を融合させた相補的アプローチによって、これまで詳細に議論されてこなかったヘテロ接合IGZO TFTにおけるキャリア輸送メカニズムに関して調査した。

口頭発表の様子

研究成果として、組成の異なる2種類の非晶質IGZOチャネルにて二次元電子ガスの形成に成功し、ヘテロチャネル界面に形成される伝導帯オフセットがキャリア伝導に大きく影響することを見出した。これらの成果はIGZO TFTの更なる高性能化に寄与する学術的基盤となる。

15分の口頭発表後、5分の質疑応答があり、3名の方から非晶質酸化物半導体ヘテロ接合の詳細に関して質問いただき、発表内容について深く議論することができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

国際会議 会場前にて

アジア圏で開催される国際会議での発表経験は何度かありましたが、ヨーロッパ圏での口頭発表は初めての経験でした。ヨーロッパ圏の参加者が多く、英語の発音の違いからかリスニングに少し苦労し、英語能力向上のモチベーションになりました。

口頭発表では3名の方から発表内容を深掘りする質問をいただきました。研究内容に関して理解・興味を示してくださり、国際会議という場で自身の研究成果を発信ができたと実感しました。他の研究者からの視点を得ることができ、今後の研究進捗および論文投稿の重要な指針になるかと思います。

また、広い分野の国際会議に参加することで、専門分野以外でどのような研究が行われているのか知る良い機会となりました。ここで得た知識と研究者交流を自身の研究発展に役立てたいと思います。

このような貴重な体験ができ、この場をお借りして今回のTCM2018の参加費および渡航費の援助をいただいた貴財団に御礼申し上げます。

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