国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成28年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
曾我 遼
(東京大学 大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻)
会議名
38th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC 2016)
期日
2016年8月16日~20日
開催地
Disney's Contemporary Resort, Orlando, Florida, America

1. 国際会議の概要

Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC) は、工学の医学応用、生体医工学分野の国際学会です。毎年リゾート地で開催され、来年も韓国のリゾート地済州島で開催されます。

EMBCでは、最先端の生物医学およびヘルスケア技術の研究開発から、臨床応用や生物医学教育まで幅広いテーマの研究が集まります。多様な背景を持つ研究者が集まるため、研究発表の他に、馴染みの薄い分野の導入を目的としたワークショップや、若手の研究支援を重視した交流会も開かれます。今年は、口頭発表、ポスター発表、基調講演、シンポジウム、ワークショップすべてを合わせ、2,171件のセッションが開かれました。

2. 研究テーマと討論内容

私は、依存症や恐怖症の治療法開発に貢献する、齧歯類を用いた行動実験系の開発について口頭発表しました。医療と意思決定のための計算モデルというテーマのセッションで討論し、背景の異なる研究者から普段得られない視点の意見をいただきました。

依存症や恐怖症の原因は、特定の対象刺激への強い嗜好性です。治療法開発で用いる嗜好性の定量評価系として、二肢強制選択法が用いられてきました。しかし、実験系と嗜好性の定量化手法の二点に問題がありました。本研究では、より日常生活を反映した実験系を構築し、刺激の選択をより直接的に表現した行動指標を導入、検証しました。

セッションでは、医学応用の可能性や実験系の発展性について意見をいただきました。今回いただいた意見を元に、より応用性を考え研究を進めていきます。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

EMBC 2016に参加し、馴染みのない研究の最先端の動向を知るとともに、臨床応用に近い考え方に触れられました。

私は、齧歯類を用いた電気生理学や行動実験を専門に研究しており、人を用いた研究には余り触れません。一方EMBCでは、大部分の研究が人の筋電位やfMRIで計測した脳活動を用いていました。人を扱った研究では、齧歯類よりも直接的に疾患に結びついた活動を研究できる反面、信号の精度や時空間解像度が悪いため、齧歯類を扱った研究よりも解析手法の発展が鍵になっているとわかりました。

また、参加者の中には医学博士号を取得した研究者や、実際に患者と直面している研究者もおり、臨床現場で研究知見を応用する困難さを学びました。

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