国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成28年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
緑川 善之
(東京理科大学 理工学研究科 機械工学専攻)
会議名
38th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC 2016)
期日
2016年8月16日~20日
開催地
Disney's Contemporary Resort, Orlando, Florida, America

1. 国際会議の概要

ポスター会場前

今回参加した国際会議(The 38th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society)は、医療、バイオメカニクスにおける権威ある国際学会であり、2016年8月16日から8月20日にわたって、アメリカ、フロリダ州のオーランドで開催された。IEEE は “アイ・トリプル・イー” と読み、Institute of Electrical and Electronics Engineers の略であり、これは組織の正式名称で、IEEEは米国公益法人法で公益法人に指定されている機関である。EMBC'16は生体信号処理、医学画像処理、生体計測など 医療や生物分野と関連した工学に特化した、12分野にわたる学会であり、ヨーロッパをはじめ、世界中から多数の研究者が参加する国際会議であり、22セッションが並列に実施されるほど活発な議論が行われた。特に今回は、ウォルトディズニーリゾートの地にての開催ということもあり、大変な盛り上がりを見せた。次回は韓国、済州島で2017年7月11日から7月15日にわたって開催される予定である。

2. 研究テーマと討論内容

私は歯科矯正治療の力学的評価を行うための訓練装置システムの開発に関する研究をしている。本会議においては “Six-Axis Orthodontic Force and Moment Sensing System for Dentists Technique Training.” という題目で、2分間の口頭での研究紹介とポスター発表を行った。以下にその概要を示す。

口頭発表の会場

本発表では、矯正力センシングシステムを研究開発する際に、測定実験の基礎となる枠組みの提案を行った。提案する矯正力センシングシステムは、矯正歯科医の訓練支援だけでなく、患者の歯列による症例診断に関する支援をも可能とするシステムを目指している。また、実際に開発した矯正力センシングシステムは、(1)歯列の位置設定・調整機能、(2)データ保存機能、(3)リアルタイム計測機能の3つの機能で構成される。まず、(1)各患者に対応した歯列の位置に模擬歯を配置・設定する。次に、(2)実際の手技に利用する治療器具を取り付け、歯にかかる力やモーメントを計測・蓄積する。(3)蓄積されたデータを用いることにより、治療方法の検討や評価が可能となる。

今回の発表では、センシングシステムの基礎となる、キャリブレーションを行うことにより、開発したシステムが高精度であることを示した。発表中は、装置の構造に関することや、歯列の変更にともなう訓練装置の利点、問題点など中心に活発なディスカッションを行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ポスター前

本会議では、ポスター発表を行い、研究者・学生と興味深いディスカッションを行った。海外への国際会議の出席はまだ2回目であり、英語で自分の意図を伝えられるか不安であった。しかし、何人かに説明をするにつれて緊張もほぐれ、なんとかディスカッションを行うことができた。ただ、自分の英語力不足のために話者の意図が理解できないことが多く、歯科医療関係の専門用語が多く、十分に意図を伝えきられないことを痛感したので、今後、英語でのコミュニケーション能力向上のために努めたい。

また本会議は、5日間に分けられた、非常に大規模な国際会議であり、様々な研究領域の発表が行われたため、初めて耳にした研究領域も多く、さまざまな領域の最新のトピックを知ることで自分の研究へのいい刺激にもなった。

最後に、一般財団法人丸文財団様より国際交流助成金を賜りましたことを、心より御礼申し上げます。

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