会場のHotel Grand Pacific
ANTEM 2014は、今回で16回目となるアンテナ技術及び電磁波応用に関する国際会議であり、カナダ ブリティッシュコロンビア州のビクトリアで開催された。会議は2年に1度、開催場所の多くがカナダであり、世界各国の研究者や学生が集まり、口頭発表形式の会議を行う。発表件数は全部で約100件である。会議は5日間であり、最初に著名な教授等による特別講演が行われ、その後各部屋にて分野ごとの発表が行われる。
ANTEMの看板
プレゼン発表の様子
本研究室では、他大学や高専との共同研究にて、流星バースト通信(Meteor Burst Communication: MBC)の研究を行っている。流星バースト通信とは、流星が地球の大気圏に突入する際にできる流星バーストを電波の反射体として使用した見通し外通信である。特徴として、流星バーストが発生、拡散するまでのわずかな時間において、確率的に、最大約2,000kmの通信が可能であり、多数のリモート局を設置したテレメトリーとして使用される。
今回の研究テーマは、流星バーストにより反射した電波の到来方向を探知するために構築したMBC用トータルレコーディングシステムの評価を商用のFMラジオ波を用いて行った結果である。結果として、理論値と測定値に一定の誤差があることがわかった。アンテナ等の設置誤差を考慮した誤差較正法を適用することで、±1°以内でFM放送波の電波到来方向が探知できることが分かった。今後の課題は、電波発信源が既知である場所からMBCで使用する周波数の信号を受信し、本システムの誤差を求めることである。
質疑応答では、研究背景と実験目的の流れが分かりにくいことへの指摘を受けたり、測定値の誤差要因や実験系の設置方法に関する質問を受けた。
州議事堂
アンテナ設計や電磁界理論等に関する最新の動向について学ぶことができ、今後の研究につながる興味深い話を聞くことができた。また、特別セッションにて行われた大型電波望遠鏡SKA (Square Kilometer Array)に関する各大学のプレゼンを聴講し、地球規模で行われているプロジェクトの壮大さと宇宙誕生などの謎の解明に関する科学的欲求がすごいと感じた。
研究者間の交流を通じて、どの国の研究者もやさしく、社交的であり、お互いの国の文化などについて積極的に話を行うことができた。しかし、より込み入った話をする上では、英語会話の能力と世界で起きている事件等の話、世界史に関する話、自国の歴史の話等の世界共通の教養ともいえる話のネタが必要であることを痛感した。
最後に、国際会議参加にあたり、多大なご支援を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。