The 16th Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO-PR 2024) は環太平洋地域を代表する国際学会であり、隔年で開催される。本学会は、レーザーおよび量子光学の基礎物理学から、デバイス開発、システム工学、アプリケーションに至るまで、幅広い分野の研究が発表される場である。また、環太平洋地域における重要なフォーラムとして位置付けられ、口頭発表やポスター発表に加え、プラナリーセッションや招待講演、ワークショップも併催される。今回の開催地は、韓国仁川のSongdo ConvensiAであった。
本研究は、通信容量の限界を突破するための空間領域多重化技術の一つとしてのFew-Mode Fiber (FMF) を用いたモード多重技術の性能向上を目的としている。特に今回の研究は、干渉を利用した高精度かつ高効率なモード変換手法であるDual-Phase Modulation (DPM) 手法に注目している。従来のDPM手法は、高い変換精度を実現する一方で、環境変動により精度が低下しやすいという課題があった。この課題に対処するため、我々のグループはSpatial Light Modulator (SLM) を用いた干渉安定化手法を提案した。講演では、この安定化手法をDPMモード変換システムに導入し、安定性の向上を実証した実験結果について報告する。実験では、フィードバック補償を施した場合、モード変換の安定性が大幅に改善され、生成されたモードと目標モードの結合効率の誤差が57.4%まで減少した。この結果から、SLMを用いた干渉安定化手法が、実用化に向けて有望なアプローチであることが示された。
今回のCLEO-PRに参加することは、私にとって非常に有意義な経験となった。特に、自身のポスター発表時に、DPM手法を用いたモード変換技術やSLMを用いた干渉安定化手法に関する議論を行い、貴重なフィードバックを得ることができた。また、コーヒーブレイクやランチの際には、海外の研究者と積極的に交流を図り、異なる視点や新たな知見を得ることができた。こうした交流を通じて、自分の研究に対する新たな視点や課題を発見し、今後の研究活動においてさらなる発展の可能性を感じた。さらに、異分野の研究者による講演を聴講することで、光通信以外の分野における最先端の研究動向や今後の展望についても理解を深めることができた。これらの経験は、自身の研究に新たなインスピレーションを与え、知識の幅を広げるための貴重な機会であった。しかし、発表や交流を通じて、拙い英語でも内容を伝えることはできたものの、円滑なコミュニケーションを図るためには、さらなる英語力の向上が不可欠であると強く感じた。今後は、研究をさらに発展させるとともに、英語力の向上にも一層努めていきたいと考えている。
最後に、本会議に参加するにあたりご支援いただきました貴財団に心より御礼申し上げます。