国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成29年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
永野 風矢
(東京工業大学 総合理工学研究科 材料物理科学専攻)
会議名
IEEE International Interconnect Technology Conference (IITC 2017)
期日
2017年5月16日~18日
開催地
台湾新竹市

1. 国際会議の概要

受付の前にて

本学会、IITC 2017, IEEE International Interconnect Technology Conferenceは半導体プロセス、製造技術、先進材料、積層技術等の分野における新たな技術に関する学会であり企業技術者や学生、各国の大学、研究機構からも著名な有識者が招集され、オーラルやポスタープレゼンテーションなどで熱い議論が数多くかわされた。例年アジアでは日本で行われていたが今回は台湾の新竹市にて開催された。台湾にはTSMCをはじめとする勢いのある半導体メーカーが多く、それぞれのメーカー、研究所からは多くの発表者、聴講者が集い、その数は250人ほどと前回の1.5倍近くに及んだ。学会中盤ではLAM ResearchとGlobal Foundriesといった企業が特別イベントを開催し、現行の研究内容が発表され多くの参加者を惹き付けた。半導体に関する技術の進歩は未だに目まぐるしい勢いがあり、IoT, Internet of Thingsの需要が高まり異機能を搭載したチップの開発が急がれることを理由に、それを実現するための様々な技術が紹介されていた。次回のIITC2017はアメリカのシリコンバレーで行われる予定である。

2. 研究テーマと討論内容

Poster Presentation

本研究ではより微小なバンプに使われるCoとCuにおいて、純すずとの間に形成される金属間化合物の成長挙動について実験的に検討したものである。近年極小なピッチを持つマイクロバンプやTSV(Through Si Vias)技術により、チップの積層技術が進歩し、処理速度、容量、省エネルギー化を実現することができてきている。このようなチップでは一般的にCuが広く使用されているが、Cuは使用上接合界面にボイドや2種類の金属間化合物を形成し接合部の信頼性を悪化させてしまう問題がある。一方本研究で注目するCoは機械特性、通電環境下における疲労寿命がCuよりも優れていることが挙げられ、フリップチップやUBM(Under Bump Metallization)でのCuの代替材料として注目されている。しかしながら、すずと形成する金属間化合物の挙動について信頼できる報告が少ないため、本研究ではその成長挙動を明らかにすることを目的とした。結果として、Co/Sn系の化合物としてCoSn3が形成されることが確認され、その成長速度は熱処理温度と時間に大きく依存することが明らかとなった。そしてそれは150℃を境にCu/Sn系金属間化合物の成長速度を下回り、それ以下の温度では著しく遅い成長速度を有することが観測された。同時に成長界面にはボイドは存在せず、平坦な界面を保持した。また本発表ではその成長メカニズムについても説明しており、過去の知見を基に核生成と粒成長の影響が大きく関わっていることを述べている。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本学会に参加したことにより、様々な半導体技術の知見とその後の将来を見ることができた。学会を通して行われたオーラルプレゼンテーションでは、終始IoTの需要に向けた異機能を有するチップ開発のための技術開発に関する発表が行われていた。その中で、今やTSV技術を使わずHybridbonding技術(出来合いのチップ同士をくっつける技術)が有効視されており、それに向けた先行研究が多かったように感じた。そして私のポスター発表に関しては、周りの研究者たちは配線関係の方ばかりであったため、私のような金属材料に関する研究は見慣れないものであったようだ。そのため金属間化合物に関してあまりよく知らない方が多く、説明しがいのあるテーマとなった。その代わりとしてどのように実現させるのか、どのように製造したのか、電解メッキの方法は何なのかと、やはり製造面から見た質問が多く飛び出し金属間化合物とは違った方向でも熱い議論を交わすことができた。そして私が注目するCoは、他の半導体技術等にも注目される背景を有しており、本学会でもいくつかCoについて研究発表がなされていたことに関して私は少しうれしく思った。

最後に、本学会への参加にあたり、貴財団から多大なる御支援を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。

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