国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成27年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
下菊 秀記
(大阪市立大学 大学院工学研究科 電子情報系専攻)
会議名
The 20th International Conference on Magnetism
期日
2015年7月5日~10日
開催地
スペイン王国、バルセロナ

1. 国際会議の概要

学会会場

International Conference on Magnetism (以下、ICM)は1958年から3年毎に開催されている国際会議であり、磁性の分野では最大の規模です。ICM2015は、スペイン王国のバルセロナで7月5日から10日まで開催されました。ノーベル賞受賞者の方による講演など約700件もの口頭発表と、約1,700件ものポスター発表が行われ、58もの国々から約2,200人が参加しました。また、本国際会議は磁性に関する5つのトピックに大別され、更に約50のトピックに小別され、各トピックにおいて、それぞれの最新の研究成果が発表され、多くの議論が交わされました。

2. 研究テーマと討論内容

ポスター発表の様子

電子は「電荷」と「スピン」の2種類の自由度を持っています。この「電荷」の自由度を利用したのが半導体工学、「スピン」の自由度を利用したのが磁気工学であり、そしてこの両自由度を同時に利用するのが「スピントロニクス」です。このスピントロニクス分野において近年、「純スピン流」に関する研究が多くなされています。この純スピン流は理論上消費電力ほぼゼロで情報伝搬が可能であるため、革新的デバイスの実現が期待されています。実際のデバイスへの応用の際に重要となることは、「純スピン流をいかに効率よく生成するか」、また「いかに安価に生成できるか」ということです。

我々の研究では、パーマロイ薄膜を磁場中熱処理することで、動力学的手法である強磁性共鳴を用いたスピンポンピングにより生成された純スピン流の生成効率の向上に成功しました。また、本手法は比較的容易かつ安価に実現できるため、工業的応用も期待できます。本会議ではこの詳細を「Spin-pumping using the Ni80Fe20 thin film annealed in a magnetic field」という題目で、7月9日にポスター発表を行い、多くの研究者の方と有意義な議論を行うことができました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

バルセロナの風景

本国際会議ではポスター発表にて、自身の研究成果に関して多くの研究者の方と交流することができました。その中では、普段論文で目にしているような方とも直接議論することもでき、更に発表内容に関して「nice」との言葉をいただけたことが自信となりました。また、著名な方々や多くの研究者の方の発表を拝聴することができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。本会議に参加し議論した内容を自身の今後の研究活動に活かし、更に精進していく次第です。
しかしこの中で、質問の意図や発表されている内容を聞き取れないことや、こちらの説明をなかなか理解してもらえないこともあり、自分の英語力の低さを痛感するとともに、更なる英語力の向上の必要性を実感しました。

最後になりましたが、今回の国際会議出席につきまして、多大なご支援をいただきました貴財団に心より感謝申し上げます。

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