国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成26年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
黒田 千愛
(早稲田大学)
会議名
IEEE Sensors 2014
期日
2014年11月2日~5日
開催地
Valencia, Spain

1. 国際会議の概要

学会会場

IEEE Sensorsは、米国の電気電子学会(IEEE)のIEEE Sensors Councilが主催する、センサおよびその関連分野に関する国際会議です。本会議は2002年6月に米国フロリダ州オーランドで開催されて以来、毎年11月に行われており、今年度はスペインのバレンシアで開催されました。参加国は多い順に米国74件、スペイン60件、日本58件で、採択率は60%、口頭発表とポスターの比率はほぼ半数となりました。ケミカルセンサ、バイオセンサ、光学センサ、物理センサに関するトピックスを中心に、センサネットワーク、センサの材料や回路など多岐に渡る研究内容が報告されていました。

来年度は韓国の釜山で、11月1日から4日まで行われる予定です。

2. 研究テーマと討論内容

本会議で私は、“Microfluidic Sedimentation System for Separation of Plasma from Whole Blood”というタイトルでポスター発表を行いました。通常の血液検査は、重量が約500 kg以上の自動検査装置を用いて、まず血液を遠心分離し、分離した血漿に試薬を加え、測定が行われています。しかしこの方法では、時間がかかることや、検査装置が大きく携帯できない、という問題点があります。そのため負傷者が発生した時、直ちに血液検査を行えず、輸血や手術をすぐに施すことができません。また、これらの血漿分離方法では、ごく少量(50 µL以下)の血液を扱うことが難しいという問題もあります。

そこで私たちは、光導波モードセンサを利用した、短時間で検査可能なポータブル血液検査装置の開発を行っています。光導波モードセンサで血漿中のウイルスや抗体を高感度に検出するためには、予め血液から血漿を分離して、センサの検出部に導入する必要があります。私は、本研究において、マイクロ流路を用いた血漿分離システムの設計および作製を行いました。この血液検査装置が実現すれば、救急車内や緊急現場でも、少量の血液を用いて血液検査を行うことが可能となり、速やかに処置を行うことができます。ポスター発表をすることで、日本人だけでなく、外国人研究者とも意見交換ができ、沢山の方に研究を知っていただくことができました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

会場内の様子

初めての国際学会だったので、渡航前は不安もありましたが、様々な国の研究者と交流することができました。特にポスター発表では、文化を超えて研究者と意見交換ができ、貴重なご意見を沢山いただくことができました。また、講演を聞くことで、世界中のセンサ研究に関する知見を深めることができました。例えば、特別講演の“Smart Cities Sensors”では、スマートフォンにセンサを設置することで、あらゆる地点の大気状態を測定できることを知りました。センサ研究の未来が理解でき、自分の研究の重要性を再認識できたと思います。

最後に、一般財団法人丸文財団様より国際交流助成金を賜りましたことを、心より御礼申し上げます。

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