国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成26年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
高 毅
(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻)
会議名
The 7th International Symposium on Visual Information Communication and Interaction (VINCI 2014)
期日
2014年8月5日~8日
開催地
シドニー、オーストラリア

1. 国際会議の概要

会場の様子

The International Symposium on Visual Information Communication and Interaction (VINCI) は2008年から毎年開催され、ビジュアリコミュニケーションの理論、設計、その応用などにおける最新技術を議論する、研究者や産業実務家のための国際会議です。

今回はオーストラリア、シドニーにおいて、2014年8月5日から8日までの期間で開催され、講演発表は午前と午後に割り当てられ、3件の招待講演、18件のフルペーパー発表、12件のショートペーパー発表、7件のポスター発表が行われました。主催者側の発表によると、6件の論文投稿があり、フルペーパーだけを考えると29% の採択率となります。会議では、さまざまな視点から行われた研究成果が発表され、質疑応答を通して重要な問題が議論されました。そのため、研究者としての視野を広げるために有益な機会となりました。また、各論文発表のセッション後のコーヒーブレイクやバンケットの時間も、論文発表の際に時間がなくできなかった研究上の議論をすることができた上に、参加者同士の交流を深めることもできました。

次回の会議は、2015年8月24日から8月26日にかけて、東京にて開催される予定とのことです。

2. 研究テーマと討論内容

今回は、高次元画像特徴空間を可視化する研究成果について、「Visualizing Bag-of-Feature Image Categorization Using Anchored Maps」 という題目にて、フルペーパーとして研究発表を行いました。

近年、急速に増大する画像データに対して、画像を内容に基づいて検索することの重要性が高まってきています。近年、この目的にために Bag-of-Features (BoF) モデルが確立され、画像データベースからその内容・意味を抽出して画像特徴空間を構成する、最も人気のある有望な手法となってきました。しかし、このようにして構築された高次元画像特徴空間において、仮に機械学習等で画像のカテゴリ分けを行ったとしても、高次元空間の振る舞いを視覚的に確認することができないため、画像カテゴリ分類の有効性を検証することができません。われわれは、BoFモデルを用いて得られた代表特徴 (visual words) と入力画像の対応関係を利用することによって、スクリーン空間において高次元画像特徴空間を可視化する手法を考案しました。主なアイデアは、各画像に代表特徴 (visual words) を関連付け、それを用いて画像と代表特徴間に2部グラフを構成した後、アンカーマップを使用し、高次元特徴空間を効果的にスクリーン空間に写像し、画像をレイアウトした点にあります。以上の研究内容を本国際会議にて報告しました。

質疑応答の際には、質問として
 (1) 画像特徴抽出手法の詳細
 (2) visual wordsの個数の決定方法
 (3) アンカーマップの境界を成す円周上の画像の割り当て方
について質問がありました。特に、visual wordsの個数の決定方法に関してはさまざまな考察を加えられる可能性があり、これにより自分の研究をもっと深く理解できるようになりました。また、休憩の時に他の出席者から、ノード間のエッジの個数が多い密グラフのレイアウトに関する質問や参考文献に関するコメントより、研究の新たな方向性も見出すことができました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

バンケット前に見学した
ハーバーブリッジとオペラハウス

自分の発表だけではなく、他の講演、発表などを聞き、さまざまな知見を得ることができました。特にグラフを含めた可視化画像のレイアウトと美学の分野で有数な研究者であるPeter Eades先生の招待講演に興味を持ちました。彼の講演題目は「Applying the weighted barycentre method to interactive graph visualization」というもので、一般的に良いグラフレイアウトの基準について解説がありました。また、彼が唱える weighted barycenter 手法により、グラフ可視化における semantic zoom を実現する事例の紹介は、とても参考になりました。

また、今回の自身の発表では、会議に出席していた研究者から質問やコメントより、私たちの研究、Visual wordsの数の決める方法や2部グラフの構成手法部分に、さらなる改善の余地があることに気が付きました。また、海外で開催される国際会議での発表は私自身初めてで、英語で研究成果をアピールする経験に加えて、文化や国籍を問わず他の研究者とも交流することができ、有意義な時を過ごすことができました。英語コミュニケーション技術の重要性を感じ、より高い語学力を身につけるという新たな目標も生まれました。

最後になりましたが、本国際会議への参加にあたり多大なるご援助を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。

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