国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成25年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
浦上 法之
(豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 電気・電子情報工学専攻)
会議名
17th International Conference on Crystal Growth and Epitaxy (ICCGE-17)
期日
2013年8月11日~16日
開催地
ポーランド、ワルシャワ、ワルシャワ大学

1. 国際会議の概要

プレナリー講演会場

International Conference on Crystal Growth and Epitaxyは、結晶成長の素過程や現象の解明に主眼を置いた国際会議であり、3年に1回行われている。第17回の今回はポーランドにおけるワルシャワ大学にて行われ、次回の第18回は日本の名古屋の開催予定である。本会議は、バルクの結晶成長だけでなく、薄膜や量子構造のエピタキシャル成長も含めて合計19のセッションがあり、金属や半導体などの結晶成長における総合的な国際会議である。プレナリー講演は合計9件あり、金属や半導体の高純度単結晶の結晶成長法であるチョクラルスキー法を考案したJan Czochralskiの歴史や成長法の詳しい理論に関する内容が印象的であった。そのほか、成長中のその場観察や結晶成長による異種接合の実現(GaN/Si)などがあった。

会議開催期間中は、昼食はビュッフェ形式、またエクスカーションやバンケットなどが開催され、研究者同士の交流を深める機会が多く設けられていた。

2. 研究テーマと討論内容

近年、集積回路内へ光機能を搭載したシリコン(CMOS)フォトニクスが注目されており、Si上への発光素子の実現は素子同士の張り合わせや結晶成長により多くの報告例がある。本研究は、Si上へ結晶成長により直接形成を目標として素子材料の検討を行っている。

今回は、Nanomaterials and low dimensional structuresと冠したセッションにおいて、「Growth and multiple stacking of self-assembled InGaAsN/GaP quantum dot by molecular beam epitaxi」という題目で質疑応答を含めて15分間の口頭発表を行った。InGaAsN混晶をGaP上へ結晶成長により自己形成量子ドットとして形成し、発光素子として応用するための基礎的検討である。N添加なしのInGaAs量子ドットは、実用化に近いこともあり、量子ドット形成に関して多くの深い検討が行われてきた。しかし、N添加により量子ドット形成過程が大きく異なることがわかった。N添加により、原子の表面拡散長が短くなり、量子ドットの核形成密度が増加することにより密度の増加が見られた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ポスター発表および企業展示が行われた Old Library

申請者は半導体薄膜のエピタキシャル成長に関する研究を行っているが、金属やバルクの成長などあまり聴講したことのない内容の発表を聞くことにより、結晶成長の視野が広がった。加えて自身の発表および質疑応答を通して、実力が向上したと考えられる。自身の発表以外でも、時間配分や聞こえやすい英語の発音など、研究内容以外で勉強することも多く、有意義な期間を過ごすことができた。

また申請者自身は初の海外渡航を経験し、日本国内では見られない様々な世界を見ることができ、人としても成長できたと感じた。

最後にICCGE-17の参加に関してご援助していただいた貴財団に、深く感謝し厚く御礼申し上げます。

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