国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成25年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
正 典子
(大阪大学 大学院工学研究科 機械工学専攻)
会議名
The 17th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Science (MicroTAS 2013)
期日
2013年10月27日~31日
開催地
Freiburg,Germany

1. 国際会議の概要

会場前の横断幕

International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Scienceはマイクロチップを用いた化学分析や生命科学の分野で1年に1回開かれる世界最高水準の国際学会である。

Micro Total Analysis Systemの略称を用いてMicroTASと呼ばれ、アメリカ・ヨーロッパ・アジアが各年持ち回りで主催し、17回目の開催である今回はドイツのFreiburgで行われた。昨年は沖縄で開催され、来年はアメリカのサン・アントニオで開催予定である。

今回は1,178件が投稿され、口頭発表102件(採択率8.7%)、ポスター発表566件が採択され(採択率58.5%)、プレナリー講演として8件おこなわれた。

2. 研究テーマと討論内容

本会議では、“ ON-CHIP FORMATION AND FUSION OF SPHEROIDS BY LABEL-FREE MAGNETIC CELL MANIPULATION” というタイトルで10月29日にポスター発表を行った。

マイクロ流路中で微小3次元組織の構築は、細胞動態の観察のみならず薬剤スクリーニングや再生医療などに有用である。我々は磁気アルキメデス効果を利用した非標識高速細胞アセンブリ法を提案しており、この手法を用いてこれまでにマイクロ流路内でのスフェロイドの形成を報告している。
培地中の細胞にかかる磁力は細胞と培地の磁化率の差に比例する。従って、高い磁化率を持つ強磁性体化合物を添加し培地の磁化率を上げると、細胞は相対的に反磁性体となり、磁場に対して反発するようになる。この現象を磁気アルキメデス効果と呼ぶ。その結果、磁場勾配を与えると、細胞は磁束密度の最も低い領域に向かって移動し、凝集する。

今回の発表では同一チップ内で2種類のスフェロイドを同時に形成し、その後磁場を変化させることでスフェロイドをマニピュレーションし、融合させることに成功したことを報告した。

発表時には多くの方に興味を持っていただき、質問や意見していただいた。
従来法との違い、我々の手法のメリット、研究背景にあげた論文からは何が進んだのか、どういった応用があるのか、といった質問を受けた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

発表の様子

今回の国際会議への参加が初の海外渡航であり、すべてが新鮮であった。
本発表に関してはCHEMINAS Young Researcher Poster Awardにノミネートし、審査対象となったことは非常に光栄である。

プレナリー講演や他の発表を聞くことで、Microfluidicsや組織や細胞のスクリーニングの分野の最先端の技術を知ることができ、自身の知識を広げ、また深めることができた。
発表中の質問に対する回答や厳しい意見に対して柔軟に対応できず、英語力の不足を痛感した。研究に力を入れるだけでなく、英語のスキルアップも必須であると感じた。

最後になりましたが、本学会に参加するに当たり、貴財団より多大なるご支援いただきましたこと、心より御礼申し上げます。

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