国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成25年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
工藤 修一
(大阪大学 大学院情報科学研究科)
会議名
2013 International Reliability Physics Symposium
期日
2013年4月14日~18日
開催地
アメリカ カリフォルニア州 Monterey

1. 国際会議の概要

シンポジウム会場

IRPSは、半導体デバイスの信頼性物理をテーマとするIEEE主催のシンポジウムであり、半導体の信頼性物理の分野では最も重要な国際会議である。今年で51回目の開催になる。会場は米国カリフォルニア州MontereyにあるHyatt Regency Monterey Hotel and Spaであった。Montereyはサンフランシスコの南約200kmの距離にあるモントレー半島の付け根に位置し、20世紀初頭にイワシ漁で栄えた街であるために、シーフードが有名な街である。

シンポジウムの参加者は総勢450人程度。日本人の参加者は20人程度であった。シンポジウムは18のセッションからなり、半導体デバイスのほぼすべての分野をカバーしている。基調講演2件、招待講演22件、口頭発表114件、ポスター72件から構成されており、本分野においてレベルの高い発表が多く、また最新の成果について活発な議論がされていた。自分の研究に分野が近いこともあり、非常に興味深い報告が多く、半導体デバイスの信頼性に関して多くの知見を得ることができた。

2. 研究テーマと討論内容

今回、Failure Analysisのセッションにて口頭発表を行った。題目はAtomic-Level Study of TDDB Mechanism of Hf-doped SiON Gate Dielectrics using Cs-Corrected STEM and Atom Probe Tomography。Hf添加High-k膜のTDDB不良について、TEMやアトムプローブなどの先端物理解析技術を用いて、TDDB劣化のメカニズムを解明したという内容である。球面収差補正STEMおよびアトムプローブの結果から、TDDB寿命の劣化はHfの拡散に起因することを突き止め、またPMOSとNMOSでTDDB寿命劣化の傾向が違うことをHfの濃度依存性の実験結果から物理現象を議論し、Hf添加High-k膜のTDDBメカニズムを解明したことについて報告した。

発表後にはアトムプローブの原理や、分解能、感度に対する質問や、Hf膜の結晶性に関する質問、デバイスの電気特性に関する質問をいただいた。またセッション後の質問・議論でもアトムプローブやTEM等の解析技術やプロセスに関する質問を多くいただいた。アトムローブを半導体デバイス解析に適用する事例はこれまで少ないため、本解析結果について興味を持っていただけたと感じた。また、今回の研究に関して海外の研究者と質疑応答や議論をすることにより、今後の研究について有意義な知見・アドバイスをいただくことができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

ポスターセッション会場(ワイナリー)

半導体デバイスの分野において重要学会の一つであるIPRSに参加できたことは、世界レベルでの研究成果に触れるいい機会であり、自分自身の研究成果を発信することにより多くの研究者と議論できるいい機会となった。また、日本からの参加者が少ない中で、日本の半導体デバイス技術の高さおよび半導体研究の成果を示すことができた。

シンポジウム期間中は、自分の研究分野に近い研究をしている海外の研究者たちと直接議論することにより、今後の研究のために有益な知見やアドバイスをいただくことができ非常に有意義であった。また、ポスターセッションは近くのワイナリーで開催され、ワインを飲みながら研究者と議論するなど、国内学会とは違う国際会議の雰囲気を改めて感じることができた。国際会議は、一度に多くの海外の研究者たちとコミュニケーションをとるいい機会であり、今後も国際会議等に積極的に参加し、よりレベルの高い研究を行うための経験にしていきたいと感じた。

最後に、今回の渡航に際してご支援いただきました丸文財団に対し、心より感謝申し上げます。

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