国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

平成25年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
藤原 宏平
(大阪大学 産業科学研究所)
会議名
2013 Materials Research Society Fall Meeting
期日
2013年12月1日~6日
開催地
The Hynes Convention Center, Boston, Massachusetts, USA

1. 国際会議の概要

会場となったHynes Convention Center

Materials Research Society Fall Meetingはアメリカ・ボストンのHynes Convention Centerで毎年開催される世界最大規模の材料系国際学会である。材料に関する、基礎物理・化学、合成プロセスからデバイス応用にいたるまでの幅広い領域を、紋切り型の学問上の分類ではなく、時宜にかなったトピックごとにセッションとして提案・運営している点が大きな特徴であり、最先端の材料研究を知ることができる学会である。

2. 研究テーマと討論内容

発表者は、鉄の酸化物を用いた電子デバイスの研究開発に取り組んでいる。最近の成果を世界にアピールする絶好の機会と意気込み、本学会では、口頭講演 “Control of Magnetotransport Properties of Zinc Ferrite Thin Films via Reversible Electrochemical Reactions”およびポスター講演 “Current Switching Effect in the Insulating Charge-Ordered States of Layered Ferrite Thin Films”の二件の発表を行った。

口頭発表では、スピネル鉄酸化物とイオン液体電解質を用いた電界効果トランジスタの輸送特性について報告し、不揮発性の電気・磁気輸送特性変化の起源が表面酸化還元に由来することを提案した。発表を行った”Emergent Electron Transport Properties at Complex Oxide Interfaces”セッションは、発表者の属する酸化物エレクトロニクス分野でも特異的ともいえるほど研究水準が高く、発表内容に対し著名な研究者より示唆に富む質問・助言を受けることができたことが大きな収穫であった。

続くポスター講演では、希土類鉄複酸化物を用いた室温動作の薄膜スイッチングデバイスについて報告したところ、幸運なことに、Best Poster Awardを受賞することができた。会場からのアナウンスと同時にたくさんの聴衆から祝福と質問を受け、大きな感動を体験すると同時にこれからの研究への大きな励みとなった。

口頭発表会場

受賞ポスター

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

三時間にわたるポスター講演では、英語での成果アピール・議論をじっくりと行うことができ、素晴らしい経験となった。中でも、アメリカの大学院生(特にアジア系)が異分野であるにもかかわらず、「どんなモチベーションのもとに、なぜこのプロジェクトを立ち上げたのか」「何が成果のポイントなのか」などについて、熱心に質問してくる姿が大変印象的であった。与えられることに慣れている日本の研究環境とは違う主体性に感銘を受けた。

最後に、丸文財団様より国際交流助成金を賜りましたことに心より御礼申し上げます。

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